icon小泉武夫の旅して食べて健康に

平野本家のいもぼう<京都市・円山公園>

京都で出合ったエビイモと鱈の妙味

京都は、日本一というよりは世界的に有名な観光地である。歴史の古さといい、芸術文化の発展といい、神社仏閣の建立物といい、とにかく見どころばかりの古都である。そのような京都であるから味処も夥(おびただ)しいほどあって、何百年かけても食べ尽くすことなどできないであろう。

しかし、何百年もの間、ひたすら自分の店の味を守って今に至ってきた老舗といえば、さすがの京都でもそうあちこちに沢山ある訳ではない。

吾が輩が京都に行くと、必ずと言ってよいほど立ち寄って食事をしてくるのが、老舗中の老舗「平野家本家」である。とても歴史が古く、江戸時代中期の享保年間にすでに開業している。ご存じの人も多いだろうが、この老舗の料理は「いもぼう」である。京都の伝統野菜であるエビイモ(海老芋)と、北海道産干鱈(ひだら)とを京都で出合わせて炊き合わせた美味極致の料理である。

その炊き合わせの秘術はまことにもって理に適ったもので、調理学上からも日本料理文化の知恵の深さとして賞賛されている。エビイモの中まで鱈のうまみがしみ渡り、それが口の中でトロリととろける感触は絶妙である。その上品なエビイモと鱈の味は、淡味を信条とする京料理の真髄といったところで、吾が輩はこの「いもぼう」を初めて口にしたとき思わず「妙味必淡」の四文字を創造した次第だ。

ところで「いもぼう」はとても健康的な食べものである。エビイモの豊富な炭水化物(デンプンや繊維)と干鱈のあふれるほどのタンパク質が含まれていて、そこに土のミネラルがエビイモから、海のミネラルが鱈から来るのだから盤石だ。京都に旅をしたら、京の味の真髄をこの平野家本家で味わって来ないと損をすることになりますぞ。

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取り寄せ情報 平野家本家

  • 取り寄せは不可
  • いもぼう会席8400円~
  • 平野家本家 075・525・0026(TEL) / 075・525・3232(FAX)