icon野口冬人の現代湯治の宿

岩手・松川温泉 松川荘

北上川に注ぐ松川の上流、ブナやナラの原生林が深い裏岩手連邦の大深岳東のふもとに沸 く松川温泉を訪れた。深い雪に覆われた冬の一日である。

「たいへんな雪ですね。1メートルから深いところでは2メートルくらいありそうですね」
「まあよくおいでくださいました。雪が深いの驚かれましたでしょう。でもこのくらいの 雪は普通ですよ。多いときには宿が半分埋もれてしまいますよ」
主人であり大女将でもある上野はるゑさんは、80歳を超えているとは思えない元気さで迎 えてくれた。
「3月下旬になると、いつもの年ですと雪も少なくなってきますが、今年は残りそうですね 。春が近いと感じても、また雲が戻ってきたりしますよ」

巨大な露天風呂で乳白色の湯を堪能

林の中に立つ赤い屋根の木造2階建ての宿「松川荘」は、和室62室。わりとこぢんまりした 部屋が大部分で、昔から湯治滞在客が多い。地熱を利用し、全館床暖房になっている。
男女別の大浴場の内湯は平成16年にリニューアルしてきれいになった。いったんサンダル に履き替えて行く大露天風呂には、白濁した湯が一面に張られ、風呂を囲う岩にのしかか るように雪が積もっていた。大きい方の露天は混浴で、別に女性専用の露天を2つ設けてあ る。湯は単純硫化水素泉、42~82度。岩で造った湯口からは、豊富な湯が絶えず流れてい る。かけ流しである。 Photo_13
大きな浴槽で思い切り身体を伸ばすと、思わず「あー、いい湯だ」とつぶやきがもれる。
東京・足立区から来たという初老の男性が「一週間湯治をしているが、高かった血糖値が 下がった」という。持参の簡易測定器で毎日測っているそうだ。糖尿病や痛風、リウマチ 、高血圧などに効果を上げる温泉ということであった。
雪深い山のいで湯は、今日でも湯治滞在客に喜ばれる湯宿であった。

 title=

松川荘

  • 〒028-7302 岩手県八幡平市松尾寄木松川温泉
  • TEL 0195・78・2255 / FAX 0195・78・3353
  • 東北新幹線盛岡駅から松川温泉行きバス2時間、松川荘口下車徒歩5分(冬季はふもと の八幡平ロイヤルホテル前で小型の4WDバスに乗り継ぐ。道が滑りやすいので松川荘口では なく終点で下車し、宿の送迎を利用<盛岡駅で要連絡>)/東北道松尾八幡平ICから地方 道45号線、県道212号線経由13キロ(30分)
  • 1泊2食1万円。トイレ付きは1万2000円