越中国の味
今月の連載「井沢元彦――新ニッポン風土記」は越中国を紹介している。
1ページ目には富山湾越しに望む立山連峰の写真が掲載されているが、私の場合“食いしん坊”だからだろうか、越中富山というと、この富山湾でとれる魚介のことを思い浮かべる。
初めてそれを越中の魚のうまさを実感したのは、北陸本線魚津駅近くにある割烹料理店に入ったときである。刺し身、焼魚、そして名物のたら汁……どれをとってもうまい!
さして期待もせずなにげなく入った店だからだろう、その感動はひとしおだった。たら汁というと、近年は新潟との県境付近、越中宮崎あたりが有名で国道沿いに店を見かけるが、魚津のたら汁もなかなかのものである。
その後、食通で知られ、箱根の高級旅館「桜庵」や六本木でレストランを数店舗経営する羽根田知也氏が、その著書の中で魚津の魚をほめていることを知った。
魚津……手元の辞書をひもとくと、その名のとおり「富山湾に臨む北洋漁業の根拠地」とある。
剣岳や黒部の雪代水(雪解け水)が富山湾に注ぎ込み、その雪代水を飲むから魚津の魚はおいしくなると羽根田氏は記している。
井沢元彦氏が連載のなかで越中国の歴史や立山信仰などについて解説している記事を読みながら、私はついつい、食べ物のことばかり考えていた(苦笑)。
たらは漢字で書くと「鱈」。文字どおり雪の降る冬に旬を迎える魚だ。
食を目当てに、冬の越中国を訪れてみてはいかがでしょう。